糖尿病網膜症
糖尿病網膜症は、血液中の糖分が高い状態が続く「糖尿病」によって、目の奥にある網膜という大切な組織の血管がダメージを受ける病気です。網膜はカメラのフィルムのような役割を果たしており、私たちがものを見るために欠かせない場所です。この病気の最も怖いところは、かなりの段階まで進行しなければ、自分では気づけるような「視力低下」や「痛み」といった症状がほとんど現れないという点にあります。私たちが日々、横浜市旭区のこの地で診療を行っている中でも、視界がかすんだり、急に見えなくなったりしてから受診され、すでに重症化してしまっている患者さんを拝見することがあります。しかし、糖尿病網膜症は適切な時期に発見し、治療を継続することで、深刻な視力障害を防ぐことができる病気です。神奈川県の希望ヶ丘駅北口から徒歩1分という通いやすい場所にある「あおぞらアイクリニック」では、日本眼科学会認定の眼科専門医が、患者さん一人ひとりの目の状態を丁寧に診察し、将来の「見え方」を守るためのサポートを全力で行っております。朝早くからの診療も行っておりますので、お仕事前の方も気兼ねなくご相談ください。
糖尿病網膜症の症状について
糖尿病網膜症は、初期段階では自覚症状が全くといっていいほどありません。そのため、内科で糖尿病と診断されても「目は普通に見えているから大丈夫」と思い込んでしまい、眼科への受診が遅れてしまうケースが非常に多いのが現状です。
病気が進行してくると、以下のような症状が現れることがあります。
- 視界に小さなゴミのようなものや、虫のようなものが飛んで見える(飛蚊症:ひぶんしょう)。
- 視界が全体的にかすんで見える、あるいはぼやけて見える。
- 中心部がゆがんで見えたり、暗く見えたりする。
- 急に片方の目が見えなくなる。
これらの症状を感じる段階では、すでに網膜内で出血が起こっていたり、網膜の中心部である「黄斑(おうはん)」にむくみが生じていたりする可能性が高いです。特に、網膜の血管が破れて目の中に血が広がる「硝子体出血(しょうしたいしゅっけつ)」が起こると、突然の視力低下を招きます。また、黄斑浮腫という状態になると、細かい文字が読みにくくなるなど、日常生活に大きな支障をきたします。
症状が出てからでは、元のクリアな視界を取り戻すのが難しくなる場合もあります。私たちは、まだ何も症状がない「今」の段階で定期検査を受けていただくことが、何よりも確実な治療の第一歩であると考えています。
糖尿病網膜症の原因について
糖尿病網膜症の直接的な原因は、高血糖による血管へのダメージです。血液中の糖分濃度が高い状態が長期間続くと、全身の細い血管が傷つき、もろくなっていきます。網膜には非常に細い血管が張り巡らされているため、この影響を特に受けやすい場所なのです。
高血糖の状態が続くと、網膜の血管が詰まったり、血管の壁から血液の成分が漏れ出したりします。血管が詰まってしまうと、網膜は酸素や栄養が足りない「酸欠状態」に陥ります。すると、体はどうにかして酸素を補おうとして、新しい血管(新生血管:しんせいけっかん)を急ごしらえで作ります。
しかし、この新生血管は非常に作りが弱く、すぐに出血したり、成分が漏れたりしやすいという欠点があります。この脆い血管が増えていくことが、さらなる出血や網膜剥離(もうまくはくり)を引き起こす引き金となってしまうのです。
また、糖尿病網膜症の発症や進行を早める要因(リスク因子:りすくいんし - 病気を引き起こす可能性を高める要素)として、以下のことが挙げられます。
- 糖尿病を発症してからの期間が長い。
- 血糖値のコントロールが安定していない。
- 高血圧や脂質異常症を合併している。
- 腎機能が低下している。
特に発症後10年、20年と経過するにつれて、網膜症を合併する確率は高まるといわれています。当院では、内科の主治医の先生とも連携をとりながら、全身の状態を含めた診察を心がけています。
糖尿病網膜症の病気の種類について
糖尿病網膜症は、その進行の度合いによって大きく3つの段階に分けられます。それぞれの段階で、目の内部で起きている変化や治療の方針が異なります。
単純糖尿病網膜症
網膜症の初期段階です。網膜の毛細血管の一部が膨らんでコブ(毛細血管瘤:もうさいけっかんりゅう)ができたり、小さな点状の出血が見られたりします。また、血管から漏れ出したタンパク質などが網膜に沈着することもあります。この段階では自覚症状はありませんが、定期的な経過観察が欠かせません。
増殖停止前糖尿病網膜症
中期段階です。血管が詰まる箇所が増えていき、網膜の広い範囲で酸素不足が深刻化していきます。網膜の血流が悪くなっている証拠である「軟性白斑(なんせいはくはん)」という白いシミが見られるようになります。まだ視力に大きな影響が出ないことも多いですが、次の「増殖」段階へ進むのを防ぐため、レーザー治療などの検討が必要になる重要な時期です。
増殖糖尿病網膜症
末期の段階です。酸欠を補うために作られた「新生血管」が網膜や硝子体に向かって伸びてきます。この血管が破れて大出血を起こしたり、増殖膜という膜が網膜を引っ張って「網膜剥離」を引き起こしたりします。この段階になると、失明の危険性が非常に高くなります。
また、どの段階であっても、網膜の中心部である黄斑にむくみが出る「糖尿病黄斑浮腫」を併発することがあります。これは視力に直結するため、早急な処置が必要です。当院では、各段階に応じた適切な診断を行い、予後(よご - 病気のその後の経過)をより良くするための治療を提案いたします。
糖尿病網膜症の治療法について
糖尿病網膜症の治療において、最も基本となるのは内科での「血糖コントロール」です。しかし、網膜症がある程度進行してしまった場合には、眼科的な治療が必要となります。当院では、患者さんの病期に合わせて以下のような治療を組み合わせて行います。
レーザー光凝固術(ひかりぎょうこじゅつ)
網膜の酸欠状態を改善し、新生血管の発生を抑えるための治療です。強い光を網膜の周辺部に当てることで、病気の進行を食い止めます。視力を劇的に良くするものではありませんが、将来の失明を防ぐために非常に重要な治療です。外来で行うことが可能です。
抗VEGF療法(硝子体注射)
網膜のむくみ(黄斑浮腫)や、悪い血管の発生を抑える薬を、白目の部分から目の中に直接注射する治療です。血管を新しく作る物質の働きを抑えることで、むくみを軽減し、視力の改善を目指します。現在は、糖尿病網膜症に伴う黄斑浮腫の第一選択となることが多い治療法です。
硝子体手術(しょうしたいしゅじゅつ)
目の中の大きな出血(硝子体出血)を取り除いたり、網膜を引っ張っている膜を除去したりする手術です。レーザー治療や注射では対応できない重症の場合に行われます。手術が必要なケースでは、適切なタイミングで連携する高度医療機関へのご紹介もスムーズに行っております。
治療によって症状が落ち着き、寛解(かんかい - 症状が落ち着いて安定した状態)に向かったとしても、糖尿病自体が治ったわけではないため、再発のチェックとして通院を継続することが大切です。
料金やよくある質問
糖尿病網膜症の検査や治療にかかる費用は、保険診療の対象となります。以下の表は、一般的な自己負担額(3割負担の場合)の目安です。使用する薬剤や検査の内容によって変動することがあります。
糖尿病網膜症の検査・治療費用の目安(3割負担の場合)
| 項目 | 費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 眼底検査・OCT検査 | 約2,000円 - 5,000円 | 初診料などは別途かかります |
| レーザー光凝固術(片目) | 約30,000円 - 50,000円 | 照射範囲により異なります |
| 抗VEGF療法(硝子体注射) | 約40,000円 - 50,000円 | 薬剤の種類によります |
Q1.糖尿病と言われたら、視力が良くても受診すべきですか?
A1.はい、必ず受診してください。糖尿病網膜症は、視力が良いままでも、目の奥で出血が始まっていることが珍しくありません。内科で糖尿病と診断されたら、まずは一度眼底検査を受けることが推奨されています。
Q2.眼底検査のときに気をつけることはありますか?
A2.詳細な検査を行うために「散瞳(さんどう)」という、瞳を広げる点眼薬を使うことがあります。点眼後数時間は、光が眩しく感じたり、手元のピントが合いにくくなったりします。そのため、ご自身での車やバイクの運転は控えてご来院ください。
Q3.一度治療をすれば、もう再発しませんか?
A3.いいえ、残念ながら糖尿病が続いている限り、再発のリスクはあります。網膜症の治療は「完治」ではなく「進行を食い止める」ことが目的です。自己判断で通院を中断せず、定期的なチェックを受けることが、一生自分の目でものを見るための鍵となります。
院長より
あおぞらアイクリニックのホームページをご覧いただき、ありがとうございます。私たちのクリニックは、横浜市旭区の希望ヶ丘駅北口から徒歩1分という便利な場所にあり、小さなお子さまからご高齢の方まで、地域の皆さまが安心して通える眼科を目指しています。
私たちは、糖尿病網膜症の診療に強い思いを持って取り組んでいます。日本眼科学会認定の眼科専門医として、最新の知見に基づいた診断と治療を提供するのはもちろんですが、何よりも大切にしているのは、患者さんの不安に寄り添うことです。「糖尿病で目が悪くなるかもしれない」という不安は、非常に大きいものです。私たちは、専門的な知識をできるだけわかりやすく、丁寧にお伝えするように努めています。
当院には、身体障害者福祉法指定医や視覚障害者用補装具適合判定医師としての知見もありますので、万が一、視力障害が生じてしまった場合の生活サポートについても、身近な相談相手としてお力になれます。また、朝早くからの診療体制を整えているのは、お忙しい現役世代の方々にも、無理なく治療を継続していただきたいという願いからです。
「最近、目が疲れやすい」「健康診断で血糖値を指摘された」といった些細なきっかけでも構いません。当院は、お子さまと大人が一緒に通える、温かい雰囲気のクリニックです。少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽にあおぞらアイクリニックへお越しください。皆さんの大切な「見える幸せ」を、私たちと一緒に守っていきましょう。
